急なキャラ替え命取り!ナチュラルママ・工藤静香に捧げる「どうした!?工藤」

2012/11/7 12:21

 

夜の世界からメンタルの世界からマブい女に憧れるヤンキーDT界から万遍なく票を稼いできた女、工藤静香
 

          夜の世界からメンタルの世界からマブい女に憧れるヤンキーDT界から万遍なく票を稼いできた女、工藤静香

近頃、80年代アイドルがやたらとテレビに登場してババアたちをアツくさせております。デビュー30周年である小泉KYON2センパイは、「甘えることができないの……天海(祐希)ちゃんもそうなんだけど」など、聞き手が「……ハイ」としか答えられないような40代独身女性の強権を発動させながらバラエティに出ずっぱり。

今回の主役、デビュー25周年の工藤静香さんもKYON2と同じく現在猛烈にメディア露出しておりますが、その割にはあまり話題に上っていませんね。なぜ?の嵐……。

「なぜ?の嵐」は吉沢秋絵(ほら、スケバン刑事(鉄仮面伝説)に出てた、あのお琴の爪で敵を倒すびっくり棒読みのおニャン子)ということはさておき、工藤さんといってまず思い浮かべるのは、「国民的アイドル」という言葉と「抱かれたい男ナンバーワン」という企画を良くも悪くも形骸化させた天下の木村拓哉氏でしょう。しかも結婚した2000年といえば最高視聴率が40%を超えた「ビューティフルライフ」に主演、SMAPとしても木村拓哉としても最高潮の人気を誇っていた時期。キムタク兄さんにまだ(笑)が付いていなかった頃、何かにつけて「ちょ、待てよ」とも言われていなかった頃、工藤さんは華麗に国民的アイドルをかっさらっていったわけですね。

「結婚=アガリ」と考えるなら、沸き立つ観衆に見守られながら最高の状態でゴールテープを切ったはずの工藤静香。全女性から羨望の眼差しを向けられてもおかしくなかった工藤静香。しかしながら……当時からなぜかこう「ふ~ん」感が否めないのはなぜでしょうか。「ふ~ん」のまま2012年、デビュー25周年、久々のメディア露出も「あぁ工藤静香ね……」で済まされてしまうこの体たらく。しーちゃん、アンタはもっとどぎつい女だったハズだよ!

セブンティーンクラブ、モモコクラブと80年代アイドルグループをわらしべ長者のように渡り歩き、ようやく頂点であるおニャン子に辿り着いたのが86年。その翌年にソロデビューと言うのだから、いかに工藤さんが「仕上がっていた」かが分かります。10代にして醸し出す雰囲気が「地元のスナックから始めて、歌舞伎町の店を数件、現在は六本木勤務」だったわけです。

ナンノが「凛々しく恋してゆきたいんです、わぁたしぃ~(「はいからさんが通る」より)」と王道ぶりっこソングを、ミポリンが「カリプソのリズムで恋愛を操る~セクスィ~マリオネット!(「50/50」より)」とドベタなキラキラポップチューンを歌う中、「抱いてくれたらぁぁぁいいのにぃぃぃ~」と絶唱し、完璧なる差別化を図った工藤さん。地底を這うようなビブラード、激しいダンスにもビクともしない前髪、巨神兵もびっくりの肩パット……その全てがオネーサンたちのハートをズキュンと打ち抜きました。

柱の陰から送った「禁断のテレパシー」こそ「MUGOん……色っぽい」と信じ、それでもダメなら「抱いてくれたらいいのに」と力づくで押し倒す、その行動に何らかの異常を感じた男から別れを切り出されれば「嵐を起こして」全てを壊し、街中で「FU-JI-TSUです!」と叫び、最終的には「黄砂に吹かれて」悟りを開く。思えば工藤さんの歌は「美人だけどメンタルにやや難がある」女性たちそのもの。明菜ちゃんの正統なる後継者ですよ。

さらに工藤さんは「敬語でしゃべっていると思いきや突然タメ口になる」「東京生まれ東京育ちのはずが要所要所でナマる」という、エライ人をコロリとさせるお水的上等テクで魑魅魍魎の芸能界をサバイブしていったのでした。夜の世界からメンタルの世界からマブい女に憧れるヤンキーDT界から万遍なく票を稼いできた女、それが工藤静香なのです。

工藤さんがキムタク兄さんと結婚しても、房総の海でおしゃれにサーフィンしても、自分の服を子供用にリメイクしちゃう手作り大好き奥様でも、収録現場におにぎりを差し入れる気配りの人でも、「工藤静香という名前だけで注目されるのはイヤ」と(わざわざ)ラスベガスで自身プロデュースの宝飾ブランドを発表しても、もう何をしても「ふ~ん」の域から出ないその理由、それは長年彼女を支えてきた「女の情念市場」から発せられる呪いなのではないかと、私は真剣に思うのであります。

出勤前、ホットカーラーを顔の周りにぐるりと巻きつける静香原理主義の女性たちは、今でも地方のスナックで「嵐を起こして」を手首にものすごいスナップを効かせながら熱唱しています。上へ横へと伸ばされたその指先からは「静香を我らにぃぃぃ」という霊気がほとばしっているのですよ。怖!

そんなこんなで工藤静香というお方。この女性は割と付き合う男によって自分のテイストをガラリと変えてきた女性なんですね。しかし男によるキャラ替えは、周囲から見たらどっちらけ以外の何物でもありません。ファッションやメイク、口癖からiPodの中身に至るまで、彼氏が変わるたびにリニューアルオープンする女……それは閉店セールを繰り返しながらなかなか閉店しない(別れない)女くらいにウザったいもの。

工藤さん同様、そのリニューアルが大体功を奏さないのも切ない限りです。まさに「どうした!?工藤」。ナチュラルでゆるふわな工藤静香なんて、突然呉服屋の息子であることを宣言したYOSHIKIのように取扱いに困るもの。工藤さんにはぜひ紫色の口紅で恨みつらみを歌い上げていたあの頃の気持ちを取り戻していただきたいと、心から願ってやみません。

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ランチタイムのお慰みコラム:ビバ!ばら色人生から学ばせて
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慢性化する経済不況、崩壊する社会規範……か弱き女にゃなんとも生きづらいこの21世紀。しかしながら親も学校も、ましてや会社の先輩や上司なんてなおさら、この世をサバイブする方法を教えてはくれません。そう、嗅覚を張りめぐらせながら学んでいくしかないのです。
そこで、昨今話題のあんな方やこんな方の生き方をお手本に、麗しき労働女子がより良き人生を送るための方法論を探っていきましょう。罵声や非難をものともしない図々しくもたくましき女たちの“生き方探訪”。

■文/西澤千央(にしざわちひろ)
フリーランスライター。雑誌『散歩の達人』(交通新聞社)、『クイックジャパン』(太田出版)などで酒場を巡ったり芸人さんにしつこくしたり。Web『サイゾーウーマン』にて女性誌レビューも担当。世間に疎まれながら執筆中。ときどきつぶやくツイアカ→ http://twitter.com/#!/chihiro_nishi

■イラスト/村野千草(有限会社中野商店)


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